貧乏手習所の先生は、うどん粉を水でといたものを鍋の底にささっと書いては文字をおしえておりました。 "あの字を食べると字をおぼえるらしー。"噂がひろまり、呼ばれた先生は千住・入谷と吉原まで流れて行き、遊女たちにもおしえることに。 "粉だけじゃ味気がないね"と遊女がいろいろ混ぜると、中はとろっ、外はぱりっと、おいしい食べ物に。 そのうちふる里に帰った先生はそれの店を開きました。 文字から始まったその食べ物は『文字焼き(もじやき)』と呼ばれるようになり、地元の人に愛されつづけました。